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2010-03-20

IM@S FANT@SY Ⅴ 第二話 二つの世界-3

「みんな!!」

なんとその少女は765プロのアイドル達を知っていたのだ!

そう言うとピンクの髪の少女は、おもむろに自分の頭に手を乗せた。

「ん!?」

アイドル達が聞き覚えのある声に訝りながらも、その様子を見守る。すると…。

―――ズルリ

と彼女の髪が落ちた。
そのピンクの髪は、正確には彼女の自毛ではなく、ウィッグだったのだ。
その下から彼女の本当の髪、前髪のキレイに切り揃えられた茶髪が現れた。

ウィッグを被るために、トレードマークのリボンを外し、
襟足を束ねていても、その顔と声があれば765プロのアイドル達には、
それが誰であるか一目でわかった。

「春香!!」

「春香ちゃん…!」

「「はるるん!!」」

「みんなぁ…!」

再会の実感を確かめるように改めてそう呼ぶと、
春香たちは全員でひしと抱き合って再会を喜んだ。

「よかったわね、ハルカ」

「はい!」

レナもまた皆とともに春香が再会できたことを喜んだ。

「でもどうして春香がレナさんみたいな格好を?」

唐突に真がそんなことを聞いた。

「あぁ、それは…」

レナが言いあぐねる。

―――んー、たまたまアタシの身代わりができそうな人がいなくて、
たまたま目の色が同じで、
ウィッグ被せてスカートで足隠して身長誤魔化せばいけそうかなぁ…
なんて思ってやったとは言いにくいわね―――

「レナさんに影武者を頼まれたんだよ」

レナがそんな自分の邪な動機に逡巡している間に春香が答えてしまった。

「影武者?どうしてそんなのが必要なの?」

再び真が尋ねる。だが、自分で言って直後、レナのある言葉を思い出す。

―――『ん~…なんというか、私の家よ』―――

そして答えに結びつく。

「家に向かうって言って、飛竜に乗って、その家がお城で、
春香が影武者を買って出て…ってことは…!?」

そう言っている間にもレナは玉座へと歩いており、
その前までいったところでみんなの方へ振り返る。

「タイク―ン国はタイクーン城へようこそ。
私がこの国、この城の主。レナ・シャーロット・タイクーンです。
改めまして、よろしく」

その語調は、先ほどまでの『年上のお姉さん』といった雰囲気とは
うってかわって、硬いものであった。

「「「「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」

タイクーン城が飛び上がりそうになるほどの4人分の驚嘆がこだまする。

「レナさんが…」

「王様!?」

真と雪歩がリアクションする。その言葉に対して亜美真美が反応した。

「ん~、でもこの場合、王様って言うよりは女王様じゃないのかな?」

真美がそんなこと言うもんだから…

「おう!女王様とは、よい響きですなぁ♪」

なんて亜美が言う…。

「ん~、よい響きなのかどうかはわからないけれど…」

指で頬を掻きつつレナが答え、言葉を続ける。

「あなたたち、特に疲れていたり、どこか痛みや体の異変を感じたりはしない?」

レナがそんなことを聞いた。

「うん」

「大丈夫だよ」

「はい。どこも」

「大丈夫です…でも、何でそんなこと聞くんですか?」

みんなが順に答えていく中、雪歩が尋ねた。

「あなたたちと可能な限り早く、多くの情報を交換したいからよ。
きっと時間もそれなりにかかってくるはずだから、どこかの怪我が悪化したり、
途中で具合が悪くなったりしては、困るじゃない?」

「それもそうですね」

レナの答えに真が総意をもって答える。

「じゃあ、私とハルカは着替えてくるから、大臣、会議の準備をしてちょうだい」

「かしこまりました」

そういうと大臣はどこかへ動き出した。

「ボクも手伝います」

真が手伝いを申し出る。

「みんなでやった方が、早く終わるよね」

「そうだね」

そういったワケで、残った全員で会議用の机と椅子、筆記具などの準備をした。

準備をしている間、大臣は出来るだけファリスに手伝ってもらうようにしながら、
みんなに玉座の間を見ていてもらうように、
また、出来るだけ自分からみんなに話しかけるようにした。
みんなの、『異世界にいる』、『お城の中』といった緊張をほぐそうという
彼なりの気配りがそこには見られた。

準備もそこそこに終わり、みんなが席について話に花を咲かせていると、
普段着に着替えを済ませた春香とレナが戻ってきた。

レナの引き締まった表情に、改めて全員が席を立つ。

「一同着席」

レナの号令で全員が腰掛けた。

「では、会議を始めます。
…まず、そうねぇ。十中八九当たってはいると思うのだけど、
あなた達は、この世界の住人ではないわね?」

みんなにとって信じがたいことではあったが、レナがそのように聞いたことで、
みんなはそれを信じざるを得なくなり、レナの問いに答える。

皆が肯定の答えを返す中…

「私たちの世界では、“たいくーん”という国の名前も聞いたことがありません」

雪歩が最後にそのように答えた。

「ふ~ん」と息を吐きながら、
みんなが言ったことをレナがスラスラと議事録にまとめてゆく。

「では、あなた達の世界について教えてちょうだい」

レナが尋ねる。が、みんなは先ほどとはうってかわって答えあぐねてしまった。

「えぇ…と。」

「う~ん」

「むむむ…。」

「これは…どう答えていいのか…。」

「難しいですぅ…。」

「あぁ、そう難しく考えなくていいのよ。例えばそうねぇ。
この世界とあなた達の世界の共通点、あるいは、相違点は?」

「そういてん?」

亜美たちがその言葉の意味が理解できずに誰へとも無く尋ねる。

「違うところってことだよ」

真が教えた。

「あぁ!それならたくさんあるよ☆」

「確かに、同じところより、違う部分の方が多いかも」

皆が口々に同じようなことを言う。

「じゃあ例えば、どんなところが?」

レナが興味を持った調子で尋ねた。

「私達の世界に竜はいません」

雪歩が答えた。

「それに、こんな田舎、メッタにないよね」

「うん。これじゃチョ→ド田舎だよ」

亜美真美が互いに顔を見合わせ、口々に言う。

「これでもこの辺じゃ栄えてる方なのだけど…。」

レナがぼやきつつさらに掘り下げて聞く。

「どうしてそう思うの?」

「だって草と山ばっかだし」

「コンビニもビルもないし、道路だって土なんだよ!?」

「こんびに?びる?」

耳慣れない言葉をレナが復唱しながら記録する。

「うん」

「コンビニってのいうは、いつでもやってるなんでも屋さんで、
ビルっていうのは、ものすごーく大きな建物のことです」

春香がその語句について説明する。

「このお城も大きいと思うけど、これよりも?」

「えぇ…と、高さは同じくらいでも、造りや材料は全く違います」

「あなたの目から見て、この世界の建物とあなたたちの世界の建物は、
どちらが優れて見える?」

「はい。私たちの世界でも、
残っているお城は残っていますから、強度はお城の方がすごいんだと思います。
でも、中に使われている照明や空調からいえば、
私たちの世界のものの方が絶対に優れてます」

「空調?」

「はい。機械で空気を調節するんですよ」

レナの問いに春香がはっきりと答えた。

「……どうやらあなた達の世界とは、相当な文明の開きがあるようね」

レナが、どうしようもないといった調子で溜息混じりに首を横に振りながら言った。

「逆にこちらからも同じ質問をしてもいいですか?」

真がそんなことを言った。

「ここがどんな世界か…ということね。いいわよ。
少し長くなるかも知れないけど、いいかしら?」

皆がそれぞれに返事をした。

「では…そうねぇ。まず、この世界はクリスタルの力によって保たれているわ」

「くりすたる?」

真美が聞き返す。

「クリスタルって、水晶のことですよね?水晶が世界を形作っているんですか?」

雪歩が尋ねた。

「…?水晶ではあるのかも知れないけれど、
この世界では水晶とクリスタルとは区別されているわ。
クリスタルは単純な宝石としての水晶とは違って、
自然と魔力の源を内に秘めたエネルギーの塊みたいなものよ」

全員が『???』といった様子で顔を見合わせる。

「まぁ、簡単に言えば、この世界の活力ね」

「クリスタルのエネルギーって、使ってもなくならないの?」

亜美がそんなことを尋ねた。

「基本的にはなくならないわ。よほど無茶な使い方をしない限りはね」

「無くなるとどうなるんですか?」

冗談半分のつもりで、春香が無邪気に聞いた。

「クリスタルが四散して、世界がその力を失うわ。
例えば、何かの機械を動かすのに、大量に火を熾す必要があったとして、
そのエネルギーをクリスタルに頼ったとするわ。
そしてそのエネルギーはクリスタルが生み出すエネルギーの許容量を超えていたとする。
そうなると、それを使い続けたら、クリスタルは砕け散るわ」

みんなの顔が次第に強張ってゆく。

レナが言葉を続ける。

「大事なことを言い忘れていたわ。
このクリスタルは全部で4つ。それぞれ、風・水・火・土の4つよ」

「ということは、今の話で使われるクリスタルは、火のクリスタルだということになりますね」

春香が聞く。

「ええ。そうね」

春香の言葉に頷き、レナがさらに話を続ける。

「クリスタルは4つあると言ったけれど、
それは1つ砕けたところで3つ残っているからいい。というものではないの。
1つが砕けてしまえば、それに連なる力もまた失われてしまう。
火が失われれば、大地は温もりを失くし、大地が腐れば水が濁る。
凍える大地と淀んだ水は、風を呼ぶ力を失う…。そして…世界は破滅するわ」

「そしてこの世界のクリスタルは、人々が知る限り、
3度は世界の危機に対して、その大きな力を使っている」

「まず1000年前、この世界を『無』の力によって消し去ろうとした暗黒魔道士、
エヌオーによって世界に危機がもたらされた時。次に30年前、
この『無』の力の存在を知り、エヌオーと同じように
この世界を消し去ろうとした暗黒魔道士エクスデスによって世界が窮した時。
そして最後が3年前…。
封印したはずのエクスデスが再び世界を滅ぼそうとした時の3回よ」

「そしてその3回目の時は、オレたちが戦っている」

―――道理で強いワケだ―――

ファリスのその言葉に、真はそんなことを思った。

―――でも、なぜ急にそんなことを話し出すんだ?―――

確かに、世界観の話をしているだけにしては、レナの語り口はあまりに真剣すぎ、
真は、それを考えざるを得なかった。

そして、それをそのまま率直に聞いた。

「それは、この世界が今再び、4度目の兆候を見せつつあり…あなた達が現れたからよ」

「???…私たちがここへ来たことと、世界が滅ぶかもしれないことが、関係あるんですか?」

春香が尋ねる。

「ええ。正確には、次元の扉が開いたこと。だけど」

「ジゲンの…」

「トビラ…?」

亜美真美が互いに顔を向かい合わせながらレナに質問を投げかける。

「ええ。この世界のクリスタルは、『無』の力と、その力が存在し、
別な世界へとつながるゲートのようなものとして、次元の狭間が存在する。
それを抑え込んでいるの。
だから、その封印の力が弱まれば、『無』がこの世界に発露し、
最終的には、この世界が次元の狭間に飲み込まれ、その一部にされてしまう…。」

「そうして『無』の力が開いた次元の扉に、ボク達は吸い込まれたってことですか…。」

真が今までの解説を基に一つの結論を出した。

「えと…じゃあ、私たちが元の世界に帰るには…どうしたらいいんですか?」

春香が頭に指をやって首をかしげる。

「4つのクリスタルを共鳴させる」

レナが話を切り出し、言葉を続ける。

「クリスタルの共鳴によって魔力を増幅させ、次元に穴を開けて、
次元の狭間を抜ける…しかないわね」

「えっ…!でも、それって、すごく危険なことなんじゃあ…」

春香の意見ももっともだ。今この世界のクリスタルは再び砕けようとしている。
そんなところで、次元に穴を開けるほどの力を解放するとなれば、どうなるかわからない。

「でも、それしか…」

「レナ様!」

『方法は無い』とレナが続けようとしたところ、1人の兵士が玉座の間へと大急ぎで入ってきた。

「大変にございます!レナ様!!」

「どうしたの?」

「クルル様から緊急の通信でございます!」

「それで、何ですって?」

―――みんなを動揺させてはいけない…!―――

そう思ったレナは、兵士の慌てように動揺するみんなを落ち着けられるよう、
出来るだけ冷静に受け答えた。

「それが…とにかく、緊急でレナ様に取り次いで頂きたいとのことですので、
詳しいことは何も…。とにかく、通信室へお越しください」

そう言って兵士は玉座の間を後にした。

「レナさん…!」

春香が心配そうな面持ちで呼びかける。他の者も皆ほぼ同様の表情であった。

―――これは…隠しても無駄そうね…。―――

そう思いながらレナは、出来るだけ冷静に事実のみを伝えた。

「みんなも、ついてきてもらえる?…これは、十中八九吉報とは思えない。
でも、彼女にも同様に、世界に異変の兆候がないか調べてもらっていたから、
もしかしたら、あなた達の仲間を見つけた報せかもしれない」

皆賛成を示し、レナの後に続いて、通信室へと向かった…。



亜美真美と真、雪歩が迎えられた先では、すでに春香がレナによって保護されていた。
束の間の再会を喜ぶ間もなく知らされた自分たちの現状と帰還方法、そして世界の窮状。
そんな彼女らにクルルがもたらす報は、帰還への希望か、それとも破滅への絶望か…
どうなる次回!?


続く

孤島の神殿内部で目覚めた律子たち。
突如現れたバル国王国軍。
そして、世界崩壊の序章を告げる
開戦の号令が、世界を結ぶ橋で発せられる。
次回、第三話『ビッグブリッジの激闘』お楽しみに!!

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