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2010-03-05

IM@S FANT@SY Ⅴ 第一話 異変の兆候-4

「おーぅ。帰ったぞー」

「お頭!おかえりなさい。その小せぇのはどーすんです?」

「さぁ、どうすっかな」

少しわざとらしく、頭を掻きながらそんなことを言って、子分の言葉を適当にはぐらかす。

アジトを一番奥まで歩いたところにある自室の見張りに、頭領が声を掛ける。

「おぅ」

「あぁ。おかえりなさい。どうぞ」

そう言って、見張りの子分が頭領の部屋の前からどいた。

「おぉ。あ、そうだ。少し離れてていいぞ」

「へい」

亜美真美との会話を聞かれたくないのだろう、人払いをしておく。

―――ガチャ

頭領が自室のドアを開け、ポイ!と亜美をベッドに投げ捨てた。

「んぎゃ!」

「亜美!」

子分から解放された真美が亜美に駆け寄る。

「さて…」

亜美真美の方を向いて机を背もたれに、丸椅子にドカッとふんぞり返って頭領が話し始め…

「真美たちどこかの国に売られちゃうの?」

「亜美そんなのやだよ→!まだまだやりたいことだってたくさんあるのに→!!」

…ようとしたところを、亜美たちが騒ぎ立て、四つの瞳を潤ませて頭領に必死に訴える。

しかし頭領は、二人が騒ぎ立てても先程までのように怒ることは無く、
それどころか優しさのある目で二人を見ていた。

「安心しな。しねぇよ、そんなこと」

その言葉に二人が目を丸くする。
その口ぶりからいって、ここで雑用としてこき使おうというワケでもなさそうだ。

「じゃあどうするの?」

亜美がおそるおそる尋ねる。

「オレはな、頼まれたんだよ。お前らの保護を」

「保護?」

「誰に?」

二人が互い違いに尋ねる。

「あ~…」

ここで頭領は、この質問に答えるべきか、寸時悩んだ。
頭領の名はファリス。ファリス・シェルヴィッツ。

―――待てよ、誰が訪ねてくるか言っちまったら、
オレの素性をバラすことになりゃしねぇか?―――

……本名、サリサ・シュヴィール・タイクーン。
頭領の本性は、女だ。故あって彼女は、それを容易に他人に知られたくないのだ。

「……あ~、ここ最近このぐらいの時間に訪ねてくるから、ちょっと待ってりゃすぐ来んだろ」

二人を安心させつつファリスにとって最も肝心な
“自分の素性をバラしてしまう”という事態を上手く往なした。

真が扉越しに聞き耳を立てて中の様子を探る。

「どう?真ちゃん」

雪歩が尋ねる。が、

「わからないよ」

岩の扉はやはり相応に分厚く、向こう側の状況はわからなかった。

「雪歩はここにいて」

「え、私も行くよ!」

「ダメだ!」

雪歩の肩をガシッ!と掴んでそう言うと、

「ボクに何かあったら、すぐ外に出て誰かに助けてもらうんだ。いいね」

と優しく言葉を続けて、言って聞かせた。

「真ちゃん」

その態度に、雪歩も真の言葉を聞き入れるしかなかった。

―――父さん、ごめんなさい。
空手はケンカの道具にするために習わせてるワケじゃないってあれほど言っていたのに…。
仲間を守るために、言いつけを破ります。だから…ごめんなさい―――

呼吸を整えながら、真はそんなことを思った。

―――カチャ

真がドクロスイッチを押すと、目の前の扉が重い音を立てて開いた。

―――真ちゃん、無事に帰ってきて…!―――

真の背中に雪歩が祈った。

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