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2011-06-09

IM@S FANT@SY Ⅴ 第五話 Party in the trouble!?-7

「ハァ…。ハァ…。」

ファリスが追いつくと、そこには膝を抱えてうずくまる雪歩がいた。

「あ…!」

その姿に、雪歩は一瞬ドキッとする。

「ユキホ」

ファリスが強く肩をつかんで雪歩に話しかける。

「戦え」

「………イヤです」

「なに!?」

ファリスは、雪歩の答えに思わず苛立つ。

「……私は」

そして雪歩は、理由を語り始めた。

「私は、ずっと怖かった!!弾丸みたいな魔法。嵐みたいな刃や牙!
それに…相手を打ち砕いた感触を覚えているこの手。
……もうイヤなんですよ!殺すのも、殺されそうになるのも!!」

「だったら逃げるのか!?逃げたって何も変わらないだろ!
怖くたって戦うしかないんだよ!戦えよ!!」

「ファリスさんは勇敢で…怖くないからそんなことが言えるんですよ!!」

ファリスの問い詰めに雪歩が猛反発した。

「オレが…怖くない?」

一つ間を置いてファリスは、雪歩の心を包み込むような優しい声で言った。

「それは違うよ、ユキホ」

「ファリスさんも、怖い時があるんですか?」

ファリスの意外な答えに思わず聞き返す。

「あぁ。
というより、もしかしたらオレは、いつもユキホよりも怖がっているかも知れない。
…傷ついていく仲間、手を差し出してやる事もできやしない。ポーションの一つもだ。
それがお前たちの判断で行われてるならまだいいさ。
お前たちが傷ついてるのは、オレの指示だ。怖くないハズがない」

「なら、どうして戦うんですか?」

雪歩が尋ねる。

「怖いから。…かな。
怖いことってのは、逃げたってなくならない。むしろ追いかけてくるだけだ。
怖いことを根本から消すためには、戦うしかないんだよ」

「どうして怖いのに戦えるんですか?」

再び雪歩が尋ねる。

「それは少し違うな」と前置きをして、ファリスが答える。

「怖いから戦えるんだ」

「恐怖も勇気もない戦いなんて、ただの一方的な殺戮だ」

真剣な顔だった。

「そんな戦い方の方が、オレはよっぽど怖いよ」

「さ、戻るぞ」

そう言ってファリスが手を差し出す。

「………。」

だが、雪歩は手を取らない。

「わかったよ。じゃあ、勇気のでるおまじないを教えてやるぜ」

そう言ってファリスは、雪歩の肩を強くつかんだ。

「怖いと思う分だけ力を込めな!!鼓動に合わせて足を踏み鳴らせ!!」

「これで怖さは消える」

それだけ言い終えるとファリスは手を離し、一人立ち上がって元来た道に視線を向けた。

「じゃあ、オレは戻るぜ。お前も心配だが、マコトたちも放っておけないからな」

そしてファリスは視線の方へと駆け出した。

―――『必ず来いよ』とか『待ってるぞ』って、言わないんだ―――

その背に雪歩がそんなことを思った時、ファリスは足を止め、振り返った。

「どうしても怖くて、動けなかったら。そん時は……逃げちまいな。
今ここでお前が逃げ出してしまったとしても、オレは怒らないよ」

それだけ伝えると、今度こそファリスは雪歩の元を走り去った。

   ◇   ◇   ◇

「ぐ、ぁ!!」

「「まこちん!!」」

真は、何度目か分からぬほどのフォルツァの直撃を、その身に受けていた。

「真美…回復を!!」

這いつくばったまま、詰まる息で仲間の名前を呼び、回復を求める。

『ケアル!!』

真美がケアルを唱える。

「まこちん…。このままじゃまこちんが死んじゃうよ!!」

亜美の心配ももっともだが、真は、二人の盾になることをやめる気はなかった。

真美の回復によって、真が何度目か分からない窮地から立ち上がり、剣を構える。
鋼のような筋肉の壁に阻まれ、文字通り太刀打ちできない剣を。

「おぉ――――――い!!」

その時、ファリスが雪歩の元から戻ってきた!だが…

―――雪歩がいない!見つからなかったのか?それとも…説得に失敗したのか!?―――

「雪歩は!?」

真が後ろに視線だけ送って尋ねる。

「信じろ!!」

ファリスは語らなかった。来る来ないはもちろんだが、説得の成否も語りはしなかった。
ただ、『信じろ』と。一言そう言ったのみであった。

真たちにはその一言で十分だった。

「さぁ、仕切り直しだ。いくぜ!」

指揮がファリスへと変わって、戦闘が再開される。

   ◇   ◇   ◇

「………。」

依然雪歩はその場に留まったまま動かない。

―――『怖くたって戦うしかないんだよ!』―――

―――『怖いことを根本から消すためには、戦うしかないんだよ』―――

―――『怖いから戦えるんだ』―――

―――『恐怖も勇気もない戦いなんて、ただの一方的な殺戮だ』―――

雪歩は、ファリスから説得された言葉を思い出していた。
そして雪歩は、さらに以前の言葉を思い出した。

―――『もしここで何もしなかったら、ボクは二人を仲間と呼べなくなる気がする』―――

真が亜美真美を救出するときに言った言葉であった。

―――ここで何もしなかったら…!!―――

雪歩は決意を固め、ゆっくりと立ち上がる。

―――戻らなきゃいけないのに…。みんなのところへ…!なのに―――

「足が動かないよ…。」

だが、震える足を押さえる事しかできなかった。

   ◇   ◇   ◇

「ガアアアァァァ!!」

「ひっ!」

「亜美!!」

フォルツァが狙いを定めた亜美を、真が手を引くことで咄嗟にかばう。

―――ドン!!!

「ゲエ…ェ!!カハ!ぁ…ぁ」

何度となく攻撃にさらされ続けた鎧が、ついに耐え切れず大きく割れ、
穴が開き、モロに拳を腹に受けた。

拳が引き抜かれ、足の浮いていた真はそのまま立つことができず、
ドシャリとその場に崩れ落ちた。

   ◇   ◇   ◇

その頃雪歩は、ファリスから言われた最後の言葉を思い出した。

―――『じゃあ、勇気のでるおまじないを…』―――

―――怖いと思う分だけ力を―――

雪歩は、定まらない足元に込められるだけの力を込め、2回ほど足を打ち鳴らす。
だが、その程度の力では恐怖を打ち払うことなどできなかった。

―――なんで!?どうして震えが止まらないの!?
私は早く真ちゃんたちのところに行きたいのに!!―――

一踏みするたびに雪歩は力を込めて、ドンドンと足を踏み鳴らす。

―――止まれ!止まれ!止まれェ!!―――

その様は彼女の表情と相まって、
端の者から見れば、仲間を助けたくても行けない自分への情けなさと苛立ちに、
地団太を踏んでいるように見える事だろう。

―――何で止まらないの!? ―――

雪歩が今まで以上に強く力を込めて、
かかと落としのように脚を振り上げて全力で踏み下ろす!

―――こんのぉぉぉおおお!!!―――

―――ズドォォォン!!

隕石が落ちたような轟音が一面に響き、それと同じくらいに抉れた地面がそこにできた。

「ハァ…。ハァ…。ハァ…。」

そして雪歩は、自分の手足を見て、何かをつかむように2、3度指を動かした。

「と、止まった」

―――これなら…いける!!―――

雪歩は、強く地面を蹴ると、真たちの元へと駆けだした。

   ◇   ◇   ◇

「マコト。マミ!回復を!!」

ファリスが真美に回復を指示する。だが、

「………。」

真美は動かない。

「マミ、どうしたマミ!!」

ファリスが再度促す。

「もう、魔力が残ってないよ」

真美が全てを諦め切った表情で一言だけ、ポツリとそう言った。

「な…!くそっ!!」

その言葉を聞くなり、突如ファリスは駆け出し、真を抱き上げその身で覆い隠した。
指揮官が手を下してはならないという暗黙の禁を破ってまで、真をかばったのだ。

―――これまでか…!―――

覚悟を決め、少しでも傷を負わないよう、真を強く抱きしめた。

その時!

「ぃぃぃいいやあああぁぁぁぁ!!!」

その声の直後、胸に強烈な衝撃を受けたフォルツァは、大きく吹き飛ばされた。

「ユキホ」

雪歩が猛烈なスピードで走りこみ、そのまま跳び蹴りを叩き込んだのだ。

「グ…ォォ」

その衝撃と痛みに、フォルツァが怯みうずくまる。

「雪歩…!」

弱々しく呼びかけた真は、雪歩の恐ろしい形相を目の当たりにした。
だが、真が言葉を詰まらせたのは、それが理由ではなかった。

―――雪歩の周りに、赤い、オーラのようなものが見える…!―――

雪歩の中で、火のクリスタルに眠る勇者の心、『勇気』が覚醒したのだ。

いまだに痛みに身を抱えるフォルツァをキッと睨み付けると、雪歩は猛然と走りかかった!

「ぁぁぁぁあああああ!!!」

体を抱え守っているフォルツァの前で雪歩が跳躍すると、そのまま左脚を振り上げ、
踵から突き刺す。

着地、そして直後。

「ぁぁあ!!」

その位置から左腕で殴る。ストレートや突きといった、武道の類のような動きではない。
ただの無造作な殴打が、剣の刃さえ弾き返していた腕に深々と突き刺さる。。

「あぁら!」

右腕。フックのようなつっかけ気味のものだが、左腕から放ったそれと同質のものである。

あまりの雪歩の猛攻に、遂にフォルツァのガードが決壊する。

「ぁぁぁぁぁああああ!!」

さらに左足を踏み込んで、縦向きの拳のまま下からすくい上げるように右拳を構える。

「ぁぁあ!!」

一発。フォルツァが気合いを入れてこらえる。

「ああ!」

二発。同じ位置にさらに雪歩の追い討ちが重なる。

「ぁぁあ…」

今までよりやや大きく雪歩がバックスイングする。

「あらぁぁぁぁぁぁ!!!」

三発目。砲弾を撃ち込んだかのようなけたたましい音と共に、
フォルツァの腹から中身の壊れる音が響いた。

「オ…オォ…!ォォォオオオオオ!!」

呻き、腹を抱えながらもフォルツァが右拳を打ち下ろす!

―――バシイィィィ!!

だがそれは空しくも、
雪歩の掌底気味に繰り出された左手によって、いとも簡単に阻まれた。

「ん……ん!!」

そのまま力を込めて、雪歩がフォルツァの拳を握り潰す!!

「ギャオ…ォア…アアァ!」

フォルツァの鈍い呻き声が辺りに響き渡る。だが雪歩は攻撃の手を緩めない。
フォルツァの指にめり込んだ左手を引き、フォルツァを引き付けると、
そのまま右手で顔面を殴り付けた!

フォルツァが吹き飛び転げる。左手の指は抉れ、肉が散った。

雪歩は追う。
立ち上がろうとするフォルツァに合わせ、顎を跳ね上げるように蹴り飛ばし、
無理矢理立ち上がらせる。

響く雄叫び。

そして、殴打。

殴打。殴打。殴打。

その間、フォルツァは棒立ちであった。

「ぁぁぁああああ!!」

雪歩が野球のピッチャーのように大きく拳を振りかぶる。

雪歩の攻撃によって支えられていたフォルツァが、その一瞬の間によって倒れかけ、
その顔面へ雪歩の拳が重なる。

殴打。

先程までフォルツァと呼ばれていたソレは、姿はともかく、
四肢は原形を留めてはいなかった。

「ハァ…。ハァ…。ハァ…。」

真たちは、雪歩の様子をただ見ているしかできなかった。
その瞳は、フォルツァへ向けていたものと同質のものであった。

「ユキホ」

ファリスが歩み寄り、雪歩の後姿に、ポンと頭に手をやった。

「よくやった」

その声に抑揚はない。しかし、しっかりとした声で雪歩にそう伝えた。

「ありが…」

「が!」

雪歩が礼を言おうとしたその時、ファリスがそれに割って入った。

ファリスがフッと雪歩の頭から手を離すと…

―――ペチン!

と雪歩の頭を軽く叩いた。

「戦い方は全然ダメだ!マミ!」

ファリスが唐突に呼んだ声に、真美が駆け寄る。

「ユキホを回復してやれ」

「え?でもゆきぴょん、どこか怪我してるようには…」

「足を痛めてる。右足だ」

「え?そんなハズないですよ。さっきだってちゃんと動かせて戦えましたし」

―――本人にも自覚なし。か―――

「ちょっと来い」

ファリスが強引に雪歩の手を引く。

「あ…あ痛!あ、あの、ちょ、ちょっと待ってくださいぃぃ」

雪歩が右足をひょこひょこさせながら、どうにか付いてくる。

「座れ」

ファリスが雪歩を近くの岩に座らせる。

「ちょっと触るぞ」

言うなりファリスは雪歩の靴を脱がせ、左手でかかとを支える。

ファリスが雪歩の足をじっと見つめ、患部を探す。

「多分…」

そう言いながら、右手を土踏まずの辺りへすべらせる。

「!!…!」

触れられただけで雪歩が軽く息を吸い、体をビクッと強ばらせた。

「ここだろ」

そう言うとファリスは、親指を足の甲へと回し、
雪歩の足と軽く握手をするように力をかけた。

「うぁあ!!」

あまりの痛みに、雪歩が歯を食いしばり、目をギュッと閉じて堪える。


―――あまりの力で踏み抜いたせいで、衝撃が足の甲まで突き抜けたな―――

「マミ」

ファリスに呼ばれるが、真美が逡巡する。

「お頭さん、真美は…」

「ホレ」

そんな真美に、ファリスがエーテルを差し出す。

「え?でも、コレ高いんじゃ…」

「いいから使え」

「うん」

申し訳なさ気に真美はエーテルを受け取り、一気に飲み干した。

「ゆきぴょん、少し触るよ?」

ファリスと場所を入れ替わって、真美が雪歩の前に跪く。

『ケアル!!』

雪歩の足をやわらかな光が包み、痛みが消え去ってゆく。

「うん、もう大丈夫みたい」

足首を回しながら雪歩が告げる。

「え?でもケガが簡単に治って、痛みが引けただけだと思うよ?」

だが、応急でしか治せていないことを真美が告げた。

「うん。でも歩ければ大丈夫。ありがとう真美ちゃん」

雪歩がゆっくりと真美の手から足を離し、靴を履いて立ち上がった。

その時、ファリスが道具袋の中にある話花草が光っていることに気付いた。

「お?なんだ?誰かから通信か?」

ファリスが袋から話花草を取り出す。

「おい、アミかマミ。コイツを持ってくれ」

ファリスは今現在魔力を持たず、魔力のある者に持ってもらう必要があるため、
亜美か真美を呼び付けた。

「亜美が持つよ」

ファリスから話花草を受け取ると、亜美はみんなの前にそれを掲げた。

全員が再びその場に座り込む。

『お、映った映った』

そこに映し出されたのはレナだった。

「おうレナ。どうした?」

『姉さん。こちらは仲間を集め終えて、今からイストリーへ向かうわ。
もっとも、向こうでしばらく戦闘経験を積んでからのダンジョン攻略になるから、
日にちはもう少しかかるでしょうけど』

「わかった。じゃあこっちも大海溝に向けて動き始める」

『健闘を祈っているわ』

「ああ、そっちこそな。上手くやれよ」

互いの無事と作戦の成功を祈りながら、二人は通信を終えた。

「さて、ちょうどいいタイミングだったな。じゃあ、これでレベル上げは終了だ」

ファリスが立ち上がり、みんなもそれに合わせて立ち上がった。

「さぁ、テントを片付けて、大海溝へ向か…う?」

キャンプに戻ろうと歩き始めたファリスたちの前に、
再びワイルドナックの群れが立ち塞がった。
白と黒の体毛を持った狼たちがそれぞれに唸り声をあげ、
今にもパーティに襲いかからんとしている。

パーティの全員が、指示に備えて身構える。

「ハァ。やれやれ」

頭を掻きながらファリスが一つ溜息をつき、二回ほどつま先を打つ。

「あっ…。」

その様子に雪歩がハッとする。

―――勇気の出るおまじない―――

思えば初めて戦闘を行った時からである。
その時からずっとファリスは、戦闘に臨むときには今のように、つま先を打っていたのだ。

「そっか。そうだったんだ」

雪歩は戦闘前だというのに、初めて小気味よく笑った。

「雪歩?」

その違和感に、真が雪歩を見て呼びかける。

雪歩が真にパッと振り返り、それに真がハッとする。

「いくよ、真ちゃん!」

雪歩の程よく気合いの入った声に心を強く押される。

「おう!」

真もそれに強く答える。

「戦闘開始!!」

「でぇぇぇえええええい!!」

ファリスの号令と共に、二人が同時にモンスターの群れへと駆けだす。



大海溝攻略に向けて戦闘経験を積むこととなったファリス率いるパーティ一行。
しかし、彼女らはその戦いの中で仲違いを起こしてしまった…!
どうにかパーティ瓦解の危機を免れるも、
今度は雪歩が戦いへの恐怖から逃げ出してしまった。
しかし、ファリスの説得とその中で彼女の思いを知った雪歩は、
勇者の心『勇気』を携え再び戦場へと舞い戻った!どうなる次回!?


続く

一方その頃クルルたち一行は、砂漠の行軍を終え、
ついにピラミッドに安置されているクリスタルへと辿り着いた。
しかし、そこに現れたのは、今までに現れたことのないモンスターであった!!
未知の敵を前に苦戦するクルル率いるパーティ一行は、
その戦いの中で今のクリスタルに起こっている新たな事実を知ることとなる!!
次回、『ピラミッドの攻防』
お楽しみに!!

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