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2010-09-19

IM@S FANT@SY Ⅴ 第五話 Party in the trouble!?-4

この回復により、真と亜美はどうにか窮地を脱することはできたが、
一切ダメージを受けていない雪歩と真美にまで回復が行き渡ってしまったのは、
明らかなロスである。

何より、ファリスの、『指揮官の指示を無視して行動に走った』というのが大きい。
だが、その程度ならこれ以前にも数度あったことだ。
今回のケースは、そこに『明らかにファリスへの反抗の意思があったこと』が問題なのだ。

あの時点で、真が『待て』と雪歩に指示していれば、雪歩は止まったハズだからだ。
それ以上に、我に返ってファリスの指示で動いてくれるようになるかも知れなかったのだ。

ファリスの考えでは、
真の回復を全て雪歩に任せ、亜美の回復をポーションで真美に任せる形で、
真を中心にこれを切り抜けるつもりであったが、
雪歩の魔力不足と、真の反抗の意志によって、
それらは意味を成さないものとなってしまった。

その後ファリスは、とりあえず言うことを聞く真美にアイテムによる回復を、
亜美に真の攻撃補助を任せ、最低限の指示のみを出し、ワイルドナックを退けた。

戦闘を終了したパーティの間に重苦しい沈黙が流れる。

「…もう、勝手にしろ!」

かに思われたが、ファリスがそれだけ口にすると、
彼女はどこへともなく、歩き去ってしまった。

しかし彼女らとて、今さら引きとめられる者はいなかった。

指揮官を欠いた彼女らは、今日のところはこれで中止にし、キャンプを張ることにした。

   ◇   ◇   ◇

その夜。

何者かが真たちが寝ているテントに近付く。

「…ったく。コイツら、ホントにこういうことにやり慣れてねぇのな」

ファリスが戻ってきたのだ。薪を小脇に抱えて。

摩擦紙を取り出し、5~60センチ程の木の枝を挟み、一気に擦り上げて木に火を点けた。

「ハァ。」と一つ息をつきその場に座り、薪をくべ始める。

「………。」

焚き木の爆ぜる音と、火の揺らめきを見つめながら、
ファリスは今日までのことを思い出していた。

―――『だって…痛いのはイヤじゃないですか』―――

―――よく考えてみれば、当り前じゃないか。
アイツらは、どことも知れない世界から、突然ここへやって来て。
もしかしたら、姫として暮らしてたレナよりももっと戦いと遠く、
無関係な世界にいたのかも知れない―――

―――『その行動にはどんな戦略的な意味があるのか…』―――

―――アレにしたって、オレが少し話してやればそれで済んだ話だ。なのに…。―――

   ◇   ◇   ◇

「ん、う~ん。…オシッコ」

―――バサ

真が用を足しに、テントの布を開いて外へ出た。

―――あ、ファリスさん―――

そこには、火の番をするファリスの後姿があった。

「…ハァ。なんでオレは、こうも上手くできないんだろう」

その言葉とため息を放るように、ファリスは新たな薪を焚き火に放り込んだ。

―――ファリスさんも、思い悩んでいたんだ。
それなのにボクは、一時の感情で突っ走って、食ってかかって…。―――

自分の行いに後ろめたさを感じた真は、用の事など忘れ、テントに戻ろうとした。

―――ガサッ!

「!?…誰だ!」

その時、思わず後ずさった真の足が草を鳴らし、
その音に賊か何かだと思ったのだろう、
人の気配を感じたファリスが剣を持って振り返った!

「あ…!」

「マコト…」

―――聞かれた?今のを!?―――

「あの!」

「えっ」

自分の弱音を聞かれたかも知れないという動揺から、
ファリスが立ち直るよりも早く真が沈黙を破った。

「となり、座ってもいいですか?」

そう言って、剣に手をかけたまま立ちかけで固まるファリスに、真が歩み寄る。

「あ、あぁ。」

そうして二人は、焚き火へと向き直った。

「ファリスさんは…」

火の世話をするファリスに、真が話しかける。

「いつもこんなことを?」

「あぁ。まぁな」

「いつ頃まで?」

「空の色が変わってくるころ」

「いつ寝てるんですか?」

「それから」

「いつも…ボクたちより早く起きてましたよね?一体、いつ起きているんですか?」

「朝日が昇るころにはな。
オレがだらしなかったら、お前たちだって、ついてこられないだろ?」

「空が白んで朝日が昇るころって…2、3時間くらいしか眠れてないじゃないですか!!」

「大丈夫だよ。航海中、夜の嵐に巻き込まれるのに比べれば、遥かに楽さ」

少しの沈黙の後。

「ファリスさん」

真がファリスの方へ向き直って、神妙な顔つきで話しかける。

「ごめんなさい!!」

突然頭を下げる真に、ファリスが驚く。

「ファリスさんは…思えば、亜美真美を助けてくれた時からもずっと。
こうしてボクたちを、戦い以外の部分からも
たくさん、たくさん支えてくれていたのに!だから、だから!…ごめんなさい!」

そう言うと真は、もう一度深々と頭を下げた。

「マコト、違う!悪いのは…」

―――悪いのは…ワタシの方だ―――

あまりの申し訳なさから言葉に詰まる。

顔を上げた真が、ファリスを見遣る。

その表情に何かを思った真が「よし!」と一声かけ、突然立ち上がった!

「今日はボクが、ファリスさんに代わって番をしますよ!」

「えっ?いいよ。お前は寝てな。
さっきも言ったろ?お前たちには、できるだけ万全な状態でいてほしいって」

真の言葉に、穏やかな表情と言葉でファリスが答える。

「む~。それじゃあ、一緒に起きてます!それならいいでしょ!?」

再びサッとその場に座り、グイとファリスに詰め寄る。

「いや、何もよくねぇよ」

そう言おうとしてファリスは、寸でのところでその言葉を飲み込み、
全く別な言葉を口にした。

「いいよ。好きにしな」

呆れながらも温かい笑顔だった。

「へへっ。や~りぃ♪」

と、喜んだのも束の間。

「あ、そうだ。ボク、オシッコしたくて起きたんだった。ちょっと行ってきますね」

と恥ずかしそうにその場を立ち上がった。

「フフフ・・・。忙しいヤツ」

その場でクルクルとせわしない真にファリスが笑った。

「ファリスさん。ボクらといて、初めて笑いましたね。カワイイですよ」

真がファリスをからかう。

「ハァ?うるせぇ。早く行ってこい」

ファリスが照れ隠しに乱暴な言葉を吐く。

「フフ…。ハイ」

そう言って真は、茂みに向かって駆け出した。

それからファリスと真は、今まで自分たちにあったこと、
これからのことや、何気ない日常のことなど、本当に色々な事を語り合った。

   ◇   ◇   ◇

数時間後。

「なぁ、マコト」

ファリスが真に話しかける。だが、一向に反応が返ってこない。

不審に思ってファリスが真の方を見ると、座ったまま寝息を立てていた。

「結局こうなるのかよ」

ファリスがうなだれる。

―――トン。

その時、真の頭がファリスの肩に落ちた。

「しかも動けなくなったし」

ファリスがひとりごちる。

「仕方ねぇな」と一言漏らし、結局そのまましばらく火の番を続けた。

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